【10.05.10】私のおすすめ 森 扶佐子さん(名古屋共同法律事務所員、革新・愛知の会世話人)

編み物を 至福の時ー

 
「着てはもらえぬセーターを 寒さこらえて編んでます」というのは有名な歌謡曲の一節だが、この人が針を動かすたびにセーターを着ることのない「あの人」を思うとすると、その数は何万回、これではいつまで経っても忘れられないなあ・・と心配になる。

 私が糸と針1本から新しい形が出来る楽しさを知ったのは幼少の頃、「おはじき」を入れる袋を作ったのが最初。10歳を過ぎるとセーターを編み始め、物資不足の折、毎年小さくなるとほどいて編み変えた。2枚のセーターから大きいセーターを作り、残った糸はベストにしたり手袋にしたり、違った色は模様に使う、などなど、10cmの毛糸も無駄にすることのない究極のエコ。でも、これって高度成長の前には当たり前の風景。

 「物」があふれ、不要なものはどんどん捨てる時代。私ももちろん新しいもの大好き。それなのに「糸」の類は何一つ捨てられない。古くなったり小さくなったりしたセーターは未だに編み直す。 買ったほうが安いことは十分分かっていても、である。1本の糸が立体になる、世界に一つだけの作品をつくる喜びかも知れない。

 根気の要る作業は革新懇に似ている。

 今日もテレビの前でニュースに毒づきながら手指を動かしている私。至福の時である。

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