【11.04.09】自叙伝を書く 徳田秋さん(医師・愛知県社会保障協議会議長・革新愛知の会世話人)

自叙伝を書く

信じられない気はするが、あと二ヶ月あまりで私は八十歳の誕生日を迎える。(医師という)職業がら多くの人びとを見送ってきたが、やがては自分も見送られることになる。
 唯物論者の私は死後の世界を信じないが、自分の生きたこの世界に何一つ残さず姿を消すのはいささか残念である。これといった趣味をもてなかったので、この際自分の歩んできた道を自分の手で書きとめておこうと思い立った。
 手はじめに、生まれてこの方身のまわりに起こったことがらを、思いつくまま大小問わず書き並べ、時間の流れに沿って整理し、メモをつくってみた。
 最近は、暇を見つけてはそのメモを補足し、膨らませて文章にしてみている。どちらかというと凝り性なので、時間の前後などにあまりこだわると調べようもなくて筆が止まってしまう。そこで「学術論文じゃないのだから」と自分に言い聞かせて記憶だけに頼ることにした。過去の自分と対話を重ね、その頃の心象を想い、力まず、飾らず、創らず、ありのままの自分の生きた姿を楽しく書き進めていく心算だ。
 完成したら上梓し、弔問客に配るよう準備しておきたい。

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