【12.06.09】『啄木 新しき明日の考察』――現代の「閉塞感」を打開するために――愛労連事務局長・吉良多喜夫さん

昨年(二〇一一年)は、日本が韓国を迎合して百年。今年二〇一二年は石川啄木が没して百年になる。
 どんな関係があるのかというと、石川啄木は一九一〇年8月22日に「韓国併合に関する条約」が調印されたとき、「地図の上、朝鮮国にくろぐろと墨のぬりつつ秋風を聴く」という短歌を発表している.
 当時「併合」が「日本之朝鮮」(東京朝日新聞の宣伝)となど祝い一色の中での一句である。
 国家が戦争への道を突き進み、大逆事件など労働者・国民の声を押しつぶす状況のもとで「時代閉塞の現状」(一九一〇年8月)という論評を発表した。「斯くて今や我々青年は…自然主義を捨て、盲目的犯行と元禄の回顧とを罷めて全精神をあすの考察――我々自身の時代に対する組織的考察に傾注しなければならぬのである」とのべている。
 現代も「閉塞感」がおおっている。これを打開するために我々、とりわけ青年たちの未来を語りその実現のために私たちの運動は求められている。
 この時代に啄木の主張はぴったりと当てはまる。「啄木――新しき明日の考察」(池田功:新日本出版)をおすすめしたい。

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