少し前ですが、久しぶりに映画を見ました。「ハンナ・アーレント」という映画です。封切りの岩波ホールでは中高年の行列ができたということで話題になり、名古屋での上映も結構満席だったので、見られた方も多いかも知れません。
この映画は、アイヒマン裁判について、彼女が雑誌に連載した論評が引き起こしたすさまじい非難と、それに立ち向かう彼女の姿を描いたものです。
最後の8分間、講義で学生に思考することの重要さを訴えかける場面はとても感動的です。アイヒマンの思考停止がとてつもない悪をもたらしたとする彼女の主張と、アイヒマン論争で彼女の置かれた状況とが重なって、見る者に強い印象を与えます。
ある新聞のコラムでは、「思考停止から抜け出せ」との見出しで原発問題を取り上げる中で、この映画のことを紹介していました。 秘密保護法の関連でも同じようにこの映画を取り上げて論じていた記事もあったと思います。
この映画や彼女の著作が注目されているのは、今この危機の時代に私たち一人ひとりの思考する力が試されているからかも知れません。そのように感じている人が多いのではないでしょうか。
映画はまだ全国各地のミニシアターで上映が続いているようです。まだ見ていない人には、是非見てほしい映画です。