第2回例会報告 ０８年度・０９年度一宮市予算の分析ーーー市民本位の予算になっているかーーー
はじめに、中川博一さんから「愛知の市町村財政の特徴」について報告をして頂きました。財政分析の方法としては、自治体の財政状況を見る、類似的な市町村と比較してみるなどいろいろな方法があるが、今回は財政指標をランキング表にして分析をしてみると各自治体ごとの特徴が浮かび上がると同時に市町村の格差も見えてくる。
１，財政力指標から（財政力指標とは、「財政の余裕度」を歳入面から図る指数）
一宮市の財政力指標は、07年度が0.86(31位)です。この財政力指標が1を越える自治体は普通交付税の不交付団体になり、1を下回る自治体は交付団体となります。愛知県下35市の中で財政力指標が1.0以上の自治体は07年度で26市を数えます。1位豊田市（1.71）2位碧南市(1.66)3位刈谷市(1.64)です。トヨタ及びトヨタ関連、新日鐵、中電等の企業城下町が上位を占めています。
２，歳入について
「一人当たりの歳入決算額・法人税割額・所得割額」から見てみると「一人当たりの歳入額」では一宮市は最下位で239.7千円です。1位は田原市で一宮市の2.4倍で577.1千円です。その差は一人当たりの法人割額」の違いです。「一人当たりの所得割額」では日進市が1位で81.3千円です。一宮市は32位で51.6千円です。田原市は29位で54.1千円です。
３，歳出について
歳出の仕組みを診断するとき、歳出の「目的別歳出」、「性質別歳出」の２つの面から見ていくことができる。
「目的別歳出」の面からみると、民生費、教育費、土木費が３大経費といわれます。バブル以後土木費が右肩下がりになり、民生費が逆に右肩上がりになってきています。一宮市は民生費33.6%、教育費10.4%、土木費14.4%です。田原市では、民生費17.0%、教育費12.5%、土木費17.4%です。豊田市では民生費17.9%、教育費13.1%、土木費23.1%です。
「性質別歳出」の経常的経費と投資的経費からみると、バブル期に投資的経費はピークに達しましたが、その後は経常経費の中の義務的経費（人件費、扶助費、公債費）が高くなっています。投資的経費が1位刈谷市34.7%、2位田原市31.1%、3位豊田市27.5%の順になっています。一宮市は28位で12.4％です。
最後に、まとめとして、財政の役割と機能を考える日本の地方財政の特徴は、国税と地方税との配分割合と歳出での国と地方との配分が乖離し逆転していることだと言われています。2006年度における国と地方との間の財政関係ですが国民が負担した租税は総額90．6兆円でした。うち国税が54.1兆円、地方税が36.5兆円でその割合は3：2でした。一方国民へのサービスとして還元された歳出総額は147.8兆円、うち国の歳出が59.9兆円、地方の歳出が87・9兆円で、その割合は2：3で租税の配分とはまったく逆転しています。地方は不足する財源を地方交付税や国庫支出金といった国からの移転財源によって補っています。地方交付税は当然、格差是正の措置としてきわめて有効であることは間違いのない事実です。しかし、今まで見てきた愛知の財政状況を見ると大きな格差が生まれていることも事実です。「所得再分配と格差是正機能」が正しくはかられるよう改善が必要と思われます。●地方交付税は2001年から激減していること●地方交付税と地方分権を考えていくことが必要である。
次に09年度の一宮市の財政について予算書をもとに柴田が報告をしました。一宮市は「特に重点を置いた事業」７項目（1.健やかでいきいきと暮らせるまちづくり 2.自然と共生する快適なまちづくり 3.たくましい産業が躍動するまちづくり 4.個性をはぐくむ教育・文化のまちづくり 5.活発な交流が生まれる魅力あるまちづくり 6.市民と行政の協働が織りなすまちづくり 7.分権時代に生きる自立したまちづくり）を行っています。この中には私たちが要求してきた入院医療費の中学生までに拡大とか、小中学校への扇風機の設置、第２児童クラブの設置等が入っていますが、逆にこれは市民要求からはおかしいと思われる市庁舎建設基本設計の継続とか、総合体育館建設事業とか、尾張一宮駅ビルの実施設計なども入っているのです。市内の商工業者への融資、補助などは入っていないのです。
予算を性質別一覧表から義務的経費が47.6％、投資的経費が12.2%となっていること、目的別歳出では、民生費29.1%、教育費13.3%、土木費7.6%となっていること、そして民生費がどのように使われているかについて報告し、話し合いを持ちました。
次回の例会は、投資的経費が実際どうなっているかが予算書だけからではわからないと言うことになり当局に資料提供を申し出て、その資料を分析していくことに決まりました。
次 回 例 会
日 時：２月２０日（土）午後１時３０分から４時まで
場 所：一宮民主センター
話 題：一宮市の財政分析ー投資的経費についてー