実施に必要な法整備が手つかず 国民投票法施行日来ても発動不能
憲法改悪をねらい、自民・公明両党が2007年5月に強行採決で成立させた国民投票法(会見手続き法)が、5月18日に施行日を迎えます。しかし、実施に必要な法整備が全く手つかずのため、施行しても具体的に発動できないという異常な事態に陥っています。
●必要な法整備とは?
国民投票法の付則では、(1)「18歳」とされた投票年齢について民法や公職選挙法などの整備、(2)公務員法の政治家活動規制を国民投票運動へ適用するうえでの法整備…これらを、公布から施行までの3年間に行うことと定めていました。ところが、審議が全然進んでいないのです。ほかに付帯決議で数多くの検討事項が課せられていますが、手がつけられていません。例えば「最低投票率制度」の検討、「公務員・教育者が行う国民投票運動の基準」の検討などです。
●法整備の遅れは民主党のせい?
自民党の中からは「これでは改憲発議ができない。審議に応じなかった民主党が悪い」という声が上がっています。しかし民主党とすれば、自公が強行採決して国民に評判の悪い法律の後始末は、気が進まないのでしょう。
必要とされた法整備が全く進まなかったことは、まさに国民投票法が「必要のない法」であることの証明であり、改憲策動の重大な破綻です。
●草の根の力で国民投票法廃止へ
こうした状況の中で、自民・公明・民主などの改憲派議員でつくる新憲法制定議員同盟が、2月25日、9ヶ月ぶりに定例会を開きました。法整備が手つかずのままになっていることに、いら立ち嘆く声が出たほか、「鳩山首相はもともと改憲派だ。自民党が鳩山首相の改憲姿勢を厳しく問いただすことで、新聞も取り上げるし、民主党内でも議論が起こってくる」という発言があったそうです。そして、4月28日に「新しい憲法を制定する推進大会」を開催して気勢をあげることを決めました。
改憲勢力のこうして悪あがきを許さず、国民投票法の廃止をめざして、草の根の運動をいっそう広げていくことが大切です。