【10.08.23】河村たかし名古屋市長が主導する「議会解散・リコール」に反対するアピール(14氏がよびかけ)

河村たかし名古屋市長が主導する「議会解散・リコール」に反対し、大学教授、弁護士など14氏が8月23日に記者会見し、アピールを発表しました。紹介します。

憲法に保障された地方自治を否定し、市長の強権政治に道を開く「議会解散・リコール」に反対しましょう! 

 河村たかし名古屋市長は、議会と市長がそれぞれ市民の代表という憲法93条に保障された地方自治の二元代表制を「立法ミス」と否定し、時代錯誤の「議員ボランティア化」を主張して議員の半減や地域委員会の設置などを議会に提案しました。

 私たちは、それらの提案のなかで議会制民主主義の根幹ともいえる民意をいっそうゆがめる議員定数半減にしぼり、去る1月8日に「議員定数半減は強権政治への道、市民の力で民主政治を守りましょう」とのアピールを発表しました。
 幸い多くの市民の皆さんのご賛同や市議会の良識で市長提案の議員定数半減条例案は否決されました。

 しかし「庶民革命」の旗を掲げ、それとは全く逆な強権政治を企む河村市長は「市民税10%減税」や「地域委員会」の全市設置に批判的な議会を解散し、市長言いなりの議会をつくるために、8月27日から「市議会の解散請求(リコール)」のための署名集めを事もあろうに市長が先頭に立って進めると言明しています。

民主主義の逆用 大義のないリコール
 
 河村市長は「10%減税の恒久化」など自らの公約を議会が阻んでいるからリコールを行うと言っていますが、それには全く大義がありません。

 第一に、私たちは、直接請求運動は地域の主人公である住民の意思で物事を直接決定する意義のある運動の一つと考えています。議会解散・リコールも、議会に集団汚職のような不祥事があった時などに住民が議会の刷新を求める重要な手段です。しかし、議会に大きな不祥事もなく、ただ市長の提案が成立しないからといってリコールを自ら先導するのは、議会の審議権や行政調査権、行政の監督権などを否定する暴挙です。また、市長の誤りを正すのは議会の正当な任務であり、まさにそれが二元代表制の役割です。
 市長は来年2月6日の県知事選挙とトリプル選挙を狙っているようですが、4月には定例市議会議員選挙があります。なぜ、2ヵ月前に急いで解散させなければいけないのか、まったく道理に欠けています。

 第二に、河村市長の「市民税10%減税」は、「金持ち減税はしない」という公約に反して大企業・金持ち優遇の減税であり、庶民には減税の実感は弱く、赤字の中小企業には恩恵は殆どありません。しかも市議会でも指摘されたように、減税恒久化は国民健康保険料の引き上げなど福祉・市民サービスの切り捨てや民営化、さらには財政をいっそう悪化させます。
 市長は市議選に「減税日本」を名乗る河村新党の候補者を多数立てる方針と伝えられています。まさに「減税」は、河村市長の名古屋市政私物化の道具とされているのです。
 
 第三に、長年続いたオール与党市政のもとで、とかくの批判のあった議会も河村市長の登場で緊張感を強め、憲法の保障する二元代表制での議会の役割を市民の視点で果たすための議会改革に取り組むことを決意し、そのための「名古屋市議会基本条例」を3月19日に全会一致で制定しました。その後、すでに議会主催で議会報告会や市民の意見を聞く会なども開かれ、議員報酬削減の協議も続けられているのです。

いま求められているのは市民の暮らし、雇用、福祉を強める行政
 
 不景気が長引き名古屋にも10万人の失業者、倒産、廃業が増え続け、さらに生活保護世帯が3万世帯を超えるなど激増しています。市民の雇用や暮らし、営業を守る行政を強めなければなりません。
 このような時に身勝手な自己主張を貫くためにいたずらに議会との対立を煽り、本来市民が自発的・自主的に用いるべき「議会解散・リコール」を市長が先頭に立って進めることは断じて許されません。
 市民の皆さん! この度の「議会解散・リコール」には大義名分はなく、市政に混乱をもたらすだけです。
 河村市長いいなりの「翼賛議会」をつくり強権政治に道を開くリコールにこぞって反対し、市民の力を合わせて民主政治を守り抜きましょう。

  2010年8月23日
 
  呼びかけ人 
          立教大学大学院教授        池住 義憲
          神学研究者            うのていを
          消費税をなくす全国の会常任世話人 大島 良満
          ジャーナリスト会議東海事務局長  加藤  剛
          真宗大谷派宗議会議員       木全 和博
          税理士              倉橋 克実
          市議会フオーラム代表       後藤周一郎
          愛知大学法科大学院教授      小林  武
          元愛知県評議長          成瀬  昇
          弁護士              原山 恵子
          名古屋大学名誉教授        水田  洋
          北病院院長・医師        矢崎 正一
          やまうち内科院長・医師       山内 一征
          俳優               若尾 隆子

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