【11.04.09】現地復興のために要望されていることは何か――NGO、NPO、活動35年の経験から

池住義憲さん(立教大学大学院教授)

 3月11日から3週間、経ちました。依然として人命救助や捜索、安否確認など、緊急対応が必要とされています。同時に、一命を取り留めた被災者の救済が大きな課題となっています。避難・移動せざるを得ない被災者はさらに増えることが予想され、避難・待機・仮設居住は数年間という長期に及ぶことが予想されます。しかも数十万人もの規模で。
 
 復旧・復興活動の大きな障壁になっているのが、福島第一原発事故という人災。収束するどころか日に日に危険度を増し、被害の内容・地域・期間とも、計り知れない膨大かつ深刻になってきています。復旧・復興活動への大きな障壁となっています。今後、原発事故被害がどのようになっていくかによりますが、少なくとも3年、いや5年にわたる国と民間の総力をあげた「特別復興計画」が必要です。

 政府は被災者の生活再編支援に向けて、法整備、復興プランづくりを本格化させました。現行の「被災者生活再編支援法」を改正して、支援額の増額、適用条件の緩和などにより、支援体制を拡大・充実に取り組み始めようとしています。同時に、被災者の集団移転を受け入れる自治体を支援するための財政支援の整備にも着手しています。そのため政府は、複数省庁にまたがる復興政策を統括する「復興庁」(仮称)を創設する方向です。

 その際重要なのは、被災者の目線に立った復興プランづくりです。被災者が自らの将来の生活再建をどうするかという複数の選択肢のなかから自らが選択し(自己選択権)、自らが決める(自己決定権)、そうした環境・状況を設定することです。これは憲法第13条に基づいたものです。

 仮設居住についてあてはめて言えば、(1)応急仮設住宅の建設立地はなるべく被災者の従前居住地の近くで安全な場所に建設すること、(2)応急仮設住宅の入居は機械的な抽選によるのではなく被災者が地域ごとにまとまって住み互いに励まし合って復興の相談などができるように配慮すること、(3)仮設居住については応急仮設住宅だけに依存するのではなく民間賃貸住宅や空き家の借り上げも検討してその費用を国が負担すること、などです。民間もそうですがとくに政府の復興基本計画づくりにはこうした視点を導入して欲しいと願っています。

 被災者にとってなによりも大切なのは、これからの人生、これからの生活です。これを「不安」のままにするのでなく、一日も早く「希望」にすること。これが「復興」という作業です。地震、津波、火山爆発などの自然現象は止められません。しかしそれによる被害は防ぐことができます。最小限に止めることができるのですから。(3月31日記)

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