【12.10.26】福島原発事故はどこまで明らかになったのか―「原発ゼロ」の日本を実現するには何が必要か

東電の「想定外」を徹底して批判する―吉井英勝さん(日本共産党衆議院議員)による学習会より

 革新・愛知の会主催の学習会は、吉井英勝議員を講師に《福島原発事故はどこまで明らかになったか》と題して10月26日、労働会館東館ホールで行われました。
参加者は一四一名。参加者の中には、弁護士、研究者、地方議員なども。

(1)福島事故はいまも続いている

 これこそすべての原点。16万人を超える人々が家に帰れないでいる。原子炉内部に入って検証できていない。大量に放射性物質が放出されたまま。斑目原子力安全委員長も「冷温停止ではない」と認めている(2012.3.16)。野田首相の「収束宣言」には根拠なし。

(2)想定外の事故でなく、人災

 東電は度々、「想定外の津波」による事故として賠償責任を逃れようとしている。しかし、これまでの経過を見ると地震・津波も「想定内」である事実が次々出された。東電内部でも学会でも巨大地震・津波を想定し、対応を検討していたのに。経営者は対策を取ってこなかった。不作為の責任は明確。だから国会の事故調査委員会の報告も人災と断定。
 なお吉井議員は国会の質問等で3.11以前に何度も全電源喪失によるメルトダウンの危険性を警告していたこともつけ加えられた。

(3)原発ムラというより原発利益共同体が責めを負うべし

 原発の安全神話をふりまき、肝心な事実にふたをする秘密主義の元凶は、原子力ムラというより原発利益共同体にある。この共同体は電力会社(地域独占と総括原価方式)、原発メーカー、ゼネコン、鉄鋼など素材供給メーカー、メガバンクなど財界中枢の大企業で構成されている。これらの大企業、労組が政党、政治屋に献金し、大学、マスメディアは研究費、広告費で組み込まれ、原発立地自治体は交付金でしばられている。その上でこの共同体は「日米利益共同体」と直結している。

(4)地域経済再生に結びつけた再生可能エネルギーの爆発的普及こそ解決の道

 日本は再生可能エネルギーの開発、普及にもっとも恵まれた国。地熱では世界第3位の資源量(火山国)、世界平均2倍の降水量(水力発電)、国土面積の7割が森林、周りを海にかこまれているなど。
 いま全国で地域の条件に合う再生エネルギーの確保がはかられている。同時に中小企業、農林水産業の発展とかかわらせて再生エネルギー開発、普及が求められている。このことで地域に仕事・雇用・所得が生まれる。
 原発ゼロのうねりを大きくすると同時にいま爆発的に再生エネルギーの開発・普及が求められる。

会場からの質問にこたえて

(1)運動の方向は、原発ゼロの方向(ベクトル)でまとまる、大きな流れをつくること (2)使用済み燃料の処理―― 一時的処理はできていても、最終処理の技術は確立していない。処理の仕方が確立していないので原発の原価計算もできない事態だ (3)放出された放射能への対応――自然界は1マイクロシーベルト。原則は余分な被曝はしないこと (4)菅首相の責任――現地に飛ぶことでなく事故対策の最高責任者として東電に徹底的に必要な対応をやり切らせることにあった (5)地震列島に54基をつくられてしまった――これ以外にも住民運動で原発をいくつかの所でつくらせなかった事実がある(近くは三重県)。
 今後も大きくかまえて闘うこと、再生可能エネルギーの爆発的普及がカギだ。
 6時半から9時まで10分の休憩を除いて正確な事実、取り組みを吉井さんは語られました。

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