【21.03.10】岡本早苗さんー被ばくは人権侵害!国と東電は謝罪と責任を!

政治に無関係ではいられない

 
岡本 早苗 さん
1978年生まれ。福島県伊達市から避難。だまっちゃおれん!原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜裁判原告団長。原発事故被害者の会・愛知共同代表。五児の母。

福島からの避難

 2011年3月11日、原発事故の時、福島県伊達市に住んでいました。事故ですべてが変わってしまいました。3月15日には実家のある愛知県に避難しました。当時、5人目の子どもを妊娠中でしたが、福島で子育てができると思えませんでした。大自然が好きで福島に来たのに、土に触れられない、葉っぱを拾えない。しかも妊婦や胎児には放射能の影響が大きいとわかれば、避難するしかないじゃないですか。この妊娠期はまともな状態で過ごせずとても辛かったです。出産したときは「ありがとう」ではなく「ごめんね」という言葉が思わず出てしまいました。支援の方や子どもたちが支えてくれたおかげで立ち直ることができました。

原告としての決意

 気持ちが落ち着いてきて、改めて事故にむきあった時、国も東電も謝罪していないということに気づきました。私はこんなに苦しんでいるのに、もう福島での生活は戻ってこないのに。その憤りから裁判に踏み切りました。
 実際に書面に判を押すとき、「国を相手に裁判するなんて、私の人生どうなるのか」と震えました。でも、原告になりたくてもなれなかった人、不安を抱えながら今も福島で生活している人、避難先で白い目で見られて辛い思いをしている人がいます。すべての原発事故被害者の希望に少しでもなればと決意しました。

だまっちゃおれん!

 一審はひどい判決で負けました。控訴審に迎えるにあたり、社会に「脱原発」を訴えて運動をつくりたいという思いが強い23人が「だまっちゃおれん!原発事故人権侵害訴訟・愛知岐阜」として原告団を立ち上げました。 訴訟自体は一つですが、その中に二つの原告団があります。もう一つの弁護団・原告団とも情報共有しています。
 原告をわけて控訴すると決めてからは大変でしたが、弁護団長の宮田陸奥男弁護士はじめ田巻紘子弁護士らが弁護団を引き受けてくれました。2月1日に控訴審の第1回口頭弁論がありました。裁判で訴えていると思いがあふれてみんな泣いちゃうんです。泣き虫弁護団・原告団ですが、最強の弁護団だと思っています。

訴訟で訴えたいこと

 あれだけの事故を起こしておいて、国と東電は謝罪もせず、責任も問われないなんて許せません。あの事故で私たちの日常と健康は奪われ、子どもたちにも健康不安は続くでしょう。「
原発は安全、20ミリシールベルトで大丈夫」なんて本音ではだれも思っていませんよ。「私たちを守れ!責任とれ!」と、私は忖度せずに訴えたいです。
 これは人権の問題です。 医療被ばくは選択できます。それより高い濃度、内部被ばくも外部被ばくもある、原発事故による被ばくは選択できません。自分の命・健康・生活にかかわる重大なことを選択できないのは絶対におかしい。被ばくを強制されているのは人権侵害です。

全国の裁判とも連帯して

 いま、全国で被害者訴訟がたたかわれています。全部つながっています。だまっちゃおれん原告団でもそれぞれの裁判をよく見て、しっかり議論しています。運動をつくり世論を喚起することが重要です。そのためにはメディア戦略も重要視しています。記者レクを丁寧に行っています。

声を上げることは子どもたちへの大人の責任

 私は、3・11まで政治に無関心で生きてきました。私は原発事故の被害者であると同時に、こういう社会にしてしまった加害者でもあると思っています。そのことに気づいた大人は声を上げなければいけない。子どもたちに手渡す社会がこんな社会ではいいはずがないです。大人の責任として、どんなことがあっても最後まで原告として立ち続けると決めました。

コロナ禍で思うこと

 東日本大震災から10年。原発事故による緊急事態宣言は10年間ずっと解除されていません。今コロナ禍で緊急事態宣言が出され、生活がしづらいということを経験をしていますが、福島では10年続いています。子どもを外で遊ばせられない、家庭菜園でとったもの、山菜なども食べられない、常に風向きを気にして生活するなどは今も続いています。

政権を変えなくては

 安倍・菅政権には失望しかありません。前代未聞の原発事故からなにも学んでない、学ぶつもりもない政権。嘘をついてオリンピックを誘致し、原発も推進するなんて、まったく信用できません。コロナ対策にしても、まったく私たちの生活を見ていない政治ですよね。国という器を大きくするために、みんなが疲弊しているような国でいいのかと思います。
 私たちは政治に無関心でいることはできても、無関係になることはできないのです。この政権は絶対に変えないといけません。革新懇の方ともご一緒に頑張っていきたいです。

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