【22.01.10】村田美穂さん(環境活動家)―貧困や環境問題をなくし、ハッピーな世界を―自分の思想と行動で

ハッピーにエコる環境活動家

 
村田 美穂さん

 2000年1月12日生まれ、みよし市出身。バンクーバーの大学に進学。環境学専攻。2020年8月日本に帰国。同年10月、2021年1月に名古屋で環境マーチを主催、約250名を動員。2021年5月、衆議院第一議員会館で経営者100人に向けてSDGs講演。現在、全国やオンラインで「ハッピーにエコる環境講座」、「企業向けSDGs講演」を月10回ほど行っている。

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情報格差で知らないこと

 「日本を含めた北半球で、2100年までに夏が約半分の170日間、冬が1ヶ月間に縮小される可能性がある」「2018年で気候変動の影響を一番大きく受けた国ランキングで日本は一位」これらは、どちらも昨年世界的に報道されたものです。
 こうした事実が日本ではほとんど報道されないという情報格差があります。多くの人は、「今世界で起きていること」と「日々の生活との繋がり」をただ知らないだけだと思うのです。知ったら、世界で起きている問題と自分は深く関わっていることが分かるので、日々の生活を変えてみようと行動に移す人が自然と増えると思うのです。こうした「現状」と「繋がり」をより多くの人に伝え、買い物などの日本人の日々の「選択」の幅を広げたいと思い、ハッピーにエコる環境講座をし、気候変動やプラスチック問題について話しています。

マザーテレサの伝記を読んで

 きっかけの一つは小学校三年に読んだ「マザーテレサ」の漫画の伝記です。この時に初めて、貧困問題の存在を知りました。同じ地球に住んでいるのに、産まれた場所が少し違っただけで、明日食べるご飯もない。今もそんな状況がこの世界にあることに、衝撃を受けました。そして、“現状を知って動いた”マザーテレサのような人たちが賞賛されるような社会ではなく、それが当たり前な社会にしていきたいと思うようになりました。

「ハッピーにエコる」とは

 環境問題=難しい、完璧にしないといけない、という印象を持たれがちです。その印象が「環境問題を知ったりアクションしたりするハードル」を高くさせているのだと思います。だから、まずは環境問題の今持たれている印象を崩すことが一番近道だと思い「ハッピーにエコる」という言葉をつくりました。
 「ハッピーにエコる」は、二つの意味を込めて使っています。世界の現状と、モノの裏側にある物語-どんな労働環境で、ここまで運ばれるのに誰が関わっていて、過程でどんな社会問題を引き起こしているのか、どんな健康問題が自分に跳ね返ってくるのか-を知り、その上で自分の心が喜ぶ選択をするということです。
 そしてもう一つの意味は、自分の心の声を聞いてハッピーだと感じる選択を取りながら生きることです。感情に蓋をして生活をしていたらどんどんキャパオーバーになってしまいます。自分の心にも向き合えていないと、周りの人の心とも対話できない。もちろん社会問題を考える余裕もなくなります。だからまずは、自分の心に素直になって行動に移すことが、社会問題を解決する一番の近道であり誰でもすぐに実践できることだと思います。

無理をせず行動

 深刻な顔で頑張っていたり、苦しさや辛さを全面に出したりするやり方は、20人に1人は関心を持つと思います。でも残りの19人は、「社会課題は悲しく真剣に取り組まないと」「だから、少しだけ関わろうとしたとしても楽しいことの方が好きな自分は批判されそう」と受け取り、社会問題に取り組む人=難しい、完璧にしないといけないという印象がつき近寄り難くなってしまうと思います。
 だからこそ、自分の心がハッピーになる選択を取り続けることやポジティブにアクションをすることで、結果的に一番多く人を巻き込めるとわたしは信じています。

自分の思考と行動で

 政治のレベルは私たち国民レベルと同じです。なぜなら、政治の代表を選んでいるのは国民だからです。この国について考え、議論ができるような人たちを日本にもっと増やさないと、今の政治は変えられないと思います。より多くの人に関心を持って行動に移してもらうという面では、政治と環境問題はとても似ていますね。
 ほとんどの物事は「自分でコントロールできること」「出来ないこと」の二つに分けられると思います。例えば、大雨という事象はコントロールできませんが、大雨や台風などの気候変動の原因は私たちの暮らし方にあります。つまり、原因は「コントロールできる」範囲内にあるのです。ですが、社会課題や政治を考えるとき「コントロール出来ないこと」に目を向ける人がとても多いです。「コントロールできること」は、自分の思考と行動。自分に矢印を向けたら、自ずと「コントロール出来ないこと」、つまり周りの人や社会の仕組みにもどんどん影響を及ぼしていくことができると実感しています。だから、まずは自分に矢印を向けるところから。

違いを認め合って

 日本は、正解があることを前提に物事を考えている人が多いと感じます。一つの考え、生き方・・・正解が存在しないことにも、多くの人は正解探しをしている気がして。地球については特に、まだ解明されていない部分が多すぎるので「これは絶対○○だ」と断定して言えることはほとんどないのに。
 ちなみにわたしは、カナダでこの日本人の特徴に気付きました。その時から実践しているのは、この人はどんなフィルターでこの世界を見ているのかな?という視点から人と接することです。これだけで、違いを認め合えるだけでなく、違いを面白いと感じることができました。

「マイボトルを持とう」と肯定的言葉で

 12・19集会のデモに参加させてもらった感想ですが、「~するな」「○○反対」という否定的な言葉は、いきなり道端で聞いた人にとっては、逆に行動へのハードルが上がってしまうのではと思いました。
 「ペットボトルやめろ」「プラスチック反対」より「マイボトルを持とう」の方が、聞く側は「自分もやってみようかな」と行動に移すハードルが低くなると思います。私もマーチ(楽しいストライキ)を主催したことがあるのですが、「地球を守ろう」「お肉を減らそう」などの肯定的な言葉のみを使った結果、道行く人が「自分も入りたい!楽しそう」と参加してくれたのです。
 肯定的な言葉を使うことで、誰かの生き方や価値観を否定せずに済みます。分断が起こらずに、一緒に前を向いてこの世界をより良くしていく仲間が増えるのではと思います。

関心の度合いは年齢なの

 若い人でもまだ関心が薄い人もいるし、すごく関心のある人もいます。それは年配の方でも同じですよね。だから年齢の違いというより、たまたま知る機会があったというタイミングの違いだと思います。

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