武力対武力で平和は来ません!――武器を持っていれば抑止力で戦争が起こらないのでしょうか

二宮 純子さん

弁護士

1942年名古屋生まれ。名古屋大学法学部卒。

在学中に司法試験合格。離婚問題、「夫婦別姓選択制の実現をめざすあいち別姓の会」の代表など活動。あいち女性九条の会会員。

2人からのスタンディング

 私は毎年5百枚くらいの年賀状をだしていますが、今年の年賀状は「昨年5月から名古屋駅前で軍拡反対、増税反対の横断幕を持って月一度第二金曜日4時から5時 スタンディングを始めました。武力対武力で平和は来ない そう思うのです」と書きました。
 岸田政権は軍備を拡張してアメリカと同盟関係を強化して、敵基地も場合によったら攻撃すると公言しています。
軍備には軍備で対抗する抑止力が必要だという人が結構多いです。でも私は軍拡は緊張を高め日本を戦争に向かわせると思い、それに反対の声を上げようと街頭に立つことを思いつきました。
 けれども一人ではなかなか私も勇気がなくて、名古屋市政を考える市民グループの「いどばた会議なごや」で「私のやりたいのはスタンディングなんだ」と話しました。代表の佐々木康子さんが「私もやります」と言ってくれました。
 革新・愛知の会が横断幕を一枚千円で作成してくれるということを知人である弁護士の鍵谷恒夫さんから聞きました。2人でもいいからやろうと、スタンディングを始めました。
 

軍拡反対の声が広がるように

 全国市民アクションのチラシを参考にして手づくりチラシを作成、いどばた会議が拡声器を購入しました。私も1月と2月はマイクを持って喋りました。
 軍拡に反対という人が増えてくれるのが望みです。戦争に向かうと言論の自由が抑圧されてしまいます。何の力もない2人の集団でも、政府に反対する声をあげることが大事だと思います。
 私たちの行動をみて別の場所でもまたやってくださる方が増えれば、意味があると思っています。

 届け出とか許可は必要かと聞く人がいて、「届け出しなくても交番の前でもできますよ」というと安心されますね。
 今は知人やあいち女性九条の会の皆さん方が来てくださって、10人ぐらい、平均年齢は80歳くらいでしょうか。月一回、第2金曜日、午後4時から5時ということで続けられればいいなと思っております。
 
武力によらない平和を

 きっかけは、ウクライナの悲惨さです。ウクライナで毎日毎日、人が死んでインフラが破壊されています。マスコミなどのゼレンスキーの英雄的扱いに私は少し違和感を感じます。領土よりも命が一番大事ではないでしょうか。
 武力によらない平和をどうやって作るのか、武力ではなく話し合い、外交が大事です。
 しかし、中国、北朝鮮のような怖い国がいるのに日本だって軍備が必要だとか、攻めてきたらどうするんだなどの反応が多いです。
 武器を持っていれば抑止力で戦争が起こらないのでしょうか。ガザを、ウクライナをみても抑止力というのは信用できないと思います。武力によらない平和をつくることを多くの人にわかっていただきたい。アメリカが中国と戦争を始めれば日本は巻き込まれます。
 日本にはアメリカ軍基地がありますので、中国と戦争すれば、日本の基地からアメリカ軍や自衛隊が発進、巻き込まれます。武器の力で武装する、その先に平和はありません。


30年以上とりくんできた選択的夫婦別姓問題

 私は労働者の方々をサポートする労働弁護士になりたいと思いましたが当時は、労働者側になる大きな弁護士事務所はなく、労働弁護士として雇ってくれるところはありませんでした。
 安藤巌弁護士はじめ労働問題を多く扱ってこられた弁護士4人に相談し、自宅で弁護士事務所を開設し、4人の親弁からお給料をいただいていました。
 また、夫婦別姓の問題にも取り組んできました。姓の選び方に男女差別があると思ったのが、夫婦別姓の問題に取り組むきっかけです。改めさせたいと1988年「夫婦別姓選択制の実現をめざすあいち別姓の会」を立ち上げ、取り組んできました。
 当時は、夫婦は同姓であるのが当然という風潮があり、夫婦別姓の問題意識は世の中に広がっていませんでした。問題意識をもってもらおうと、寸劇イベントや替え歌で「別姓サンバ」の歌をつくり青年会議所主催のイベントや大学の学園祭、自民党の県連大会などで、ビラ配布を行ったり、署名運動、意見書など国会に提出してきました。 
 30年近くたった現在でも、選択的夫婦別姓制度の導入はされていません。最近では、別姓の通称使用を拡大させるという対処でいいのではないかという意見までだされており、本来の夫婦別姓の議論が誤った方向に行かないか危惧しています。

勉強しているだけではダメ、行動を

 最後に一言。佐々木さんは「勉強してるだけではダメだから、行動した方がいい」と私と行動を共にすることを決めました。
 彼女がいなかったら私のスタンディングも始まっていません。佐々木さんのような人が私たちの周りにいると思います。ぜひ、絶対に戦争はしたくないという声を上げ、非戦の雰囲気を作りたいですね。

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