空気を読むのをやめました!言いたいことを言っていい!

インボイスは廃止! 諦めることはもう無理

生田 恵子 さん

いくた けいこ さん

グラフィックデザイナー
インボイス制度を考えるフリーランスの会・STOP!インボイス 愛知支部

自分へのモヤモヤ 
  インボイス制度の詳細が出まわり始めた頃、自分が負担することになる税金を調べてみたら想像を絶する金額で、全国の個人事業主がこれを被ったら、世の中どうなってしまうんだろうと大きな危機感を感じました。
 それまで政治に対して色々な疑問を感じつつも、投票以外の行動はとった事が無く、何かアクションをしたいのにできない自分に対してずっとモヤモヤしていました。ですが、2023年愛知県知事選で候補者さんにインボイス反対を掲げている方がいたので、勇気を振り絞って街頭宣伝のところまで出かけ、お話をさせていただきました。その時の動画をSNSに上げたら、それを見た「インボイス制度を考えるフリーランスの会 STOP!インボイス」のメンバーに「この人は本気だ」(笑)と思っていただいたようで、声をかけてもらい一緒に活動するようになりました。

言いたいことを言っていい 

 子供の頃、将来は良い大学に行き安定した企業に就職をと思っていたのですが中学校の先生から「夢を持て」と言われたのがきっかけで、ずっと絵を描くのが好きだったこともあり、グラフィックデザイナーになりました。20代の頃は選挙の投票には行っていたものの政治への関心は低く、政治がなんかおかしいぞと感じはじめたのは安倍政権の時です。
 私は、空気をめちゃくちゃ読みながら生きてきました。迷惑をかけてはいけない、自分より相手を尊重しろと教育されてきたので、空気を乱さぬよう「すみません」が口グセでした。ある時知人から「なんですみませんと言うのか分からない」と言われ、それまで空気を読むのは優しさで日本の美学だと思い込み、自分の言いたいことも言わずに生きてきたことに気付きました。昔、自分が描いていた絵を見ると、何かを縛っているとか、社会に何か言いたそうな絵がほとんどでした。
 私がモヤモヤから脱してはじめてアクションを起こせたのは、インボイス制度があまりにひどい制度だったことももちろんありますが、世間に対して恐れることなく言いたいことを言っていいのだと当たり前のことに気付けたことが大きいと思います。

信念をもって
 初めは名前を隠して行動していました。
 仕事に影響が出る不安があったのですが、インボイス制度を知れば知るほど、インボイス導入は影響が大きいし、誰にとっても大変なことになると思ったのです。今後どう生きていくのかと考えたときに、こそこそせず誇りと信念をもって生きたいと思いました。
 
問題を可視化する
 メンバーの一人がオンライン署名を立ち上げたことをきっかけに会はスタートしました。制度を知っていただくために、さまざまな方向から問題を可視化し反対の声を集約、インボイス問題検討・超党派議連の国会議員の方々と連携しながら院内集会、デモ、イベント開催などの活動。お手紙リレー大作戦として全国の自治体に1600通の陳情書を送付提出しました。オンライン署名は56万筆以上集まっています。
 昨年、インボイスが始まって1ヶ月後の実態調査アンケートを行い、約3000件の悲痛な声が寄せられたのですが、先日2回目の実態調査を行ったところ前回を超える約7000件の回答が集まりました。4月26日に、その実態調査結果を記者会見で関東のメンバーが報告をします。確定申告後という事もありさらに具体的で切実な声で溢れています。

絶対に諦めない
 農家、運送業、大工、エンタメなどさまざまな業界、また消費者の方にも大きな影響があり、今後どんどん負担が重くなる制度です。経済が大変なことになるのは目に見えています。今諦めたらもっとひどくなるだけじゃないですか。
 さまざまな職人が集まって一個のものをつくっている日本の文化が廃れてしまう。人々の生業を奪い、尊厳にもかかわる制度だと思っています。声を上げることをやめることは考えられません。そのために、全国でより多くの方に動いてもらうための仕組み作りもしたい、みんなでもっと連帯していきたいです。
 こうして様々な活動をする中で、今までずっと声を上げ続け、活動してきてくださった方がいらっしゃって、その方たちがいたから今があるということを実感します。個人的にガザ市民アクションにも参加しているのですが、パレスチナとイスラエルのこともほとんど知らず、これまで色々なことから目を背けて生きてきてしまったと恥ずかしく、申し訳なく思っています。
力をあわせ集まりましょう
 インボイス、入管、原発、とそれぞれのイシューで声を上げることも大事ですが、今の政治を変えよう!という点で繋がって集まれば、多数のメディアが取材に来るような大規模なイベントも可能なのではないかと思います。また、デモは参加しづらいという方も気軽に来られるような、気軽な茶話会なども開催してみたいですね。
 政治に興味がなかったり、不満はあるけどどうしたらいいか分からないという方に一歩踏み出すきっかけを作る、ということも課題だと感じています。政治にまつわることをアピールする時に、自分とは関係ないことだと壁を感じさせないよう、おしゃれであることや分かりやすさって大事だと思うのです。そこは自分のデザインが活かせるところなので、これからも試行錯誤しながら、みなさんと手をつなぎ、声を上げていきたいです。

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