気候危機に脅かされることのない未来を求めて‼

日本初の若者気候訴訟

明日を生きるための若者気候訴訟
原告 ふゆみさん

衝撃をうけて

 2020年年3月、コロナの影響を受け、留学先から帰国しました。何かしたいと思っていた6月、環境問題の講演会で聞いた内容が衝撃的でした。
 外国の若い人たちが、「地球が危ないので、子供を産みません」とか、北極グマが痩せ細りゴミを食べる様子など、日本で報道されていないことばかりでした。日本でも地球温暖化の影響が確実に現れているのに、日本も地球も、このままではやばいと危機感を覚えました。早く動かなきゃ、私にもできることは何かと考え、そこから活動が始まりました。
 自分の人生で、裁判に関わることなどないと思っていました。でも、環境活動をしている中で声をかけていただき、自分の声を届けられるいいチャンスだと思い、この裁判の原告になりました。日本初の気候訴訟ということで、各メディアでも取り上げられているので、これを機に「若者気候訴訟」を知り、各地で動き始める人が増えると嬉しいです。

日本初の若者気候訴訟

 原告は、全国各地の若者、14歳から29歳までの16人です。
 195の国や地域が参加する科学者の国連の機関のIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、「地球温暖化が危険な気候変動をもたらし、それが人間活動に起因することは疑う余地がない」と指摘し、世界の平均気温上昇を産業革命時から1.5℃に抑えることが、国際目標になっています。日本政府を除く先進国は、2030年までに石炭火力廃止するとしていますが、日本政府の対応は、石炭火力廃止目標の設定すらなく実効性があるようには全く見えず、再生可能エネルギーの導入も遅れています。
 日本最大の火力発電事業者であるJERAをはじめ、主な火力発電事業者10社は、日本のCO2排出量の約3割を排出しています。しかし、これらの企業は、削減目標すら定めていない、もしくは目標はあっても具体的に不十分な状態なため、CO2排出量を国際目標になるよう2019年比で2030年までに52%、2035年までに35%まで削減を求めて提訴しました。今回の裁判では、全国各地から若者が原告として集まり、日本一CO2を排出している碧南火力発電所のある愛知県から提訴する事になりました。

同じ未来を求める仲間と

 気候変動によって気温や海面の上昇などで住めなくなるところが増えると、争いも増えて平和が壊されていくことがとても怖いし、平和を守りたいです。
 手遅れになる前にできることはなかったのかと後悔するのは、嫌です。明るい未来を望み、色んなところで、色んなやり方で頑張っている仲間がいる、一人じゃないから頑張れます。
 韓国でも若者気候訴訟が行われ、憲法裁判所が国に削減計画の査定を命じたり、ヨーロッパやアメリカ、カナダなど世界的には、若者に限らず気候危機に関する裁判が多く行われています。日本での気候訴訟が初めて、というだけなので、日本はかなり遅れています。気候変動は、地球温暖化に関心のある人たちばかりではなく、地球に生きる全ての人や生き物に関わることなので、少しでも多くの人たちに届いてほしいです。

私たちにもできること

 同時に、日常のちょっとしたところで、一人ひとりが地球や自分、他の命に優しい選択ができるといいなと思います。
 国連広報センターが「個人で出来る10の行動」を提唱していたり、「エコ&サスティナブルライフを始める100のアイデア」を提案しているところもあり、できることから気軽に始められます。具体的には、再生可能エネルギーの電力会社に変更するとか、ストローとかお箸を持ち歩く、コーヒーカップは蓋なしでとか、できるだけゴミを少なくすることも、とても大切だと思います。
 こんなふうに実は、気付いていないだけで、知らないだけで、できることは意外とたくさんあります。自分にできることを見つけて増やしていったり、友達とアイデアを共有したりするのも楽しいんです。

お金や効率、便利さだけを求めていいのか。あなたの少しの優しさを。

 環境活動の他に、ヴィーガンという「動物をなるべく利用しない選択を広める活動」を友人たちとやっています。一日の中で、たった一食ヴィ―ガンに変えてみるだけで、一日に約130リットルの水を節約できます。一キロのお肉が作られるまでに動物たちが食べるえさの量は、牛は25㌔、鶏は3・3㌔です。食べ物から出る温室効果ガスの割合をみると、動物性食品が4分の3以上を占めています。地球環境や健康を無視し、今の利益や便利さだけ求めてよいのでしょうか。
 動物性食品を全く食べないで!というわけではなくて、牛肉じゃなくて鶏肉にしよう、とか、大豆ミートにしてみよう、と少し立ち止まって選ぶことで地球や未来のためにポジティブなアクションになります。身近なところでも出来ることを実践していくことで、社会や世界はきっと変わると思うんです。

今、行動しなければ

 今回の裁判では、企業にも人権を尊重する義務がある、と再生可能エネルギーへの転換によるCO2の排出量の削減を求めています。
 2020年に生まれた子どもたちは、1950年生まれの世代の4~7倍、気候変動の悪影響を受けると予測され、すでに全国各地で豪雨、熱中症などの被害が多発し、人々が亡くなっています。本来は誰もが、安定した気候のもとで健康的に暮らす権利を持ち、それが守られるべき存在だと思います。今、行動しなければと切実に思います。あなたの行動から、日本でも変化を起こせると私は信じています。

このページをシェア