【20.11.10】白井康彦さん・フリーライター

「勝負手」には頼らない――普段から地道に活動して民意を引きつける――

 私の趣味の第一、第二は、将棋、囲碁。見て楽しむスポーツの第一、第二は、プロ野球、大相撲。「勝ち負け」に徹底的にこだわる人間です。大学で三回も留年しました。将棋の修行に打ち込んだのが主因です。大学生名人、アマ有数の強豪になりました。
 その私が尊敬してやまない勝負師は、将棋の第十五世名人、大山康晴さんです。大山さんは形勢不利でも地道に挽回を図り、「勝負手」を極力避けている感じでした。私も「勝った負けた」にとらわれて半世紀以上暮らしてきました。「勝負手」はリスクが大きい。失敗すると酷いのです。骨身に染みています。
 私が選挙に惹かれる構図は分かっていただけると思います。勝ち負けがはっきりする闘いだからです。日本の首相は、解散・総選挙という「大勝負手」をいつ仕掛けるか考えられます。勝負好き人間から見れば、最高に恵まれた人間です。
 一方、自治体の首長は、自治体関連の選挙の時期が決まっているので、勝負手には出にくいです。しかし、大阪の維新は、大阪都構想を掲げた住民投票という「勝負手」を2回も仕掛けました。接戦で連敗した維新は、絶好の反面教師だと思います。
 選挙は、民意をつかんでいるかどうかで決まります。「勝負手を使わないですむように普段から地道に活動して民意を引きつける」。この徹底が最重要。私は、共産党や立憲民主党が掲げる「新自由主義・市場原理主義では駄目」という考え方に深く共鳴しています。普段付き合いのない人にもできるだけ多く語りかけましょう。この考え方を徹底的に広げましょう。

*2020年2月号インタビューに『違法な生活保護基準引き下げーー「いのちのとりで」裁判で明らかに』と語っていただきました。

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