沖縄で2024年を迎える――小林 武(革新・愛知の会世話人、沖縄大学)

 新年のごあいさつを申し上げます。今年を平和で、お互い健康な年にしたいと思います。

 穏やかであるべき初春に、「もはや戦前だ」といわれるまでに軍拡政策が展開され、とくに南西諸島の要塞化が急激に進行しています。沖縄の2024年は、重大な年となるに違いありません。ここでは、その一端をお伝えしたいと思います。

 私の沖縄移住は2011年で、米軍基地の撤去を見届けて帰郷したいと考えているのですが、今年で13年になっても、わが家に隣接する普天間基地は1mmたりとも動きません。しかし、沖縄の人々は、屈することなく、「オール沖縄」を誕生させ、2014年の衆院選では4つの小選挙区で全勝するほど前進しました。これを、権力は総動員で抑えにかかり、対峙状況が続いています。その中で、司法は、安保・防衛問題では独立性を放棄して権力の侍女の役割に任じています。沖縄県の提訴が連戦連敗であるのもそのためで、現在の辺野古新基地をめぐる「代執行」訴訟でも理は県側にあり、国が仮に勝訴しても(判決は20日)、基地の建設は実際問題として不可能です。――以上を前置きして、昨今の状況をとりあげます。

 沖縄の先島――宮古・石垣・与那国などの軍事要塞化は、共通して、敵基地攻撃用ミサイルの配備、自衛隊基地の強靭化(地下化)、民間港湾・空港の軍事利用、日米軍事合同演習の強化といった形で進んでいます。とりわけ、与那国では、自衛隊の地域への浸透、町議会の自衛隊議員の増加などに加えて、防衛官僚の町役場の幹部職員への任用までなされて、自衛隊が自治体を「占領」した状態であり、「自治の力の回復」が課題となっています。

 沖縄県民は、このような横暴に対して、そのつど抗議の声を上げていますが、11月に2つの全県集会が開かれました。5日の、国による代執行を許さない県民大集会(1800人)と、23日の平和大集会(1万人)です。この平和大集会は、県内の70を超える市民団体と個人が「沖縄を再び戦場にさせない」という1点で呼びかけたもので、これまでにない幅広い人々の集いとなりました。同時に、辺野古新基地の争点についてはまったく封印しており、これからの沖縄の運動の一致点をどこに見出すかについて、重要な問題提起をしたといえます。

 そして、11月29日の屋久島沖での米軍オスプレイの墜落事故は、政府は米側に忖度して、当初「不時着水」と矮小化して発表し、また、日本側の捜査権は日米地位協定によって一切及ばないなど、安保体制による対米従属・植民地扱いの現実を白日の下にさらすものとなりました。米軍は12月7日に、世界中のオスプレイ全機の飛行を一時停止すると発表しましたが、操縦ミスでなく機体自体の危険(「未亡人製造機」)を認めたものであり、一時停止でなく、基地から撤去させなければなりません。

 ――今、こうした課題に向かって県民が共同して行動するための一致点づくりが求められています。その場合、私は、問題の根本には日米安保体制があるという認識を持つことがやはり不可欠だと考えます。                   (2023年12月9日)

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