平民のくらし
かつては盛況だった生涯学習センターの講座の受講者が減っていると聞いた。
人気の高かった万葉集や源氏物語などの古典文学、古代史、あるいは俳句講座など、文化を楽しむ企画が制限されて、代わりに環境問題や防災、介護、DVなど、社会的な問題をテーマにしたものが増えている。
そして、終了後は学んだ成果を生かすべくボランティア活動に従事するようなレールが敷かれているのだとか。
個人が文化を楽しむ企画は、自主活動グループが会場を借りて開放講座を行い、その役を代わりに担うようになっているのだと。これは「新しい公共」と言われるものの一種なのだろうか。
「公」に代わり、「ボランティア」や「民間」が前面に出る社会。市民中心の社会が悪い訳はないが、それが「公」の後退や責任放棄になるとしたら、安穏と見ている訳にはいかない。
(青木陽子作家、革新・愛知の会代表世話人)