【23.06.10】原水爆禁止愛知県協議会 事務局長・佐竹康之さん

G7広島サミットで来日した国連のグテレス事務総長は21日、広島市で記者会見。世界で新たな軍拡が始まっていると指摘し、軍縮の動きは「完全に止まった」との認識を示しながら核保有国を非難した。マスコミからも、「核軍縮へ 矛盾抱えたまま」「抑止力も肯定」「協調優先」(中日新聞5月22日付)と評され、記者会見場でも、米国の「核の傘」に頼る日本の矛盾がのぞく。4つの質問で切り上げる首相に対し、「逃げるんですか」と核軍縮の道筋をただす声が飛んだ。首相は、演台をたたきながら「アクション・プランを具体的に動かす。G7で努力していくと確認したということだ」と、感情をあらわにした。
一方、被爆者の声は…。G7広島サミットが閉会後、オンラインで会見した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は、「核抑止論に失望」「戦争あおるような会議」と評した。広島出身の首相の登場で期待をかけていた被爆者にとって、ことさら「期待を裏切られた」の連続だ。いま国会では、G7広島サミットが成功したと発言する首相と自民議員の面々。支持率が好転したことを受けてか、強気の発言も各所で見受けられる。広島の被爆者でカナダ在住のサーロー節子さんは、首脳声明などについて、「7人の各国首脳が広島まで来てこれしか書けないとは、胸がつぶれるようだ。死者に対する大きな罪だと思う」。G7広島サミットについて「失敗だった」と痛烈に批判した。
78年前の広島と長崎を自ら体験した日本人。本来であれば、2年前に誕生した、世界初の核兵器を違法化した、「核兵器禁止条約」の牽引車となるべき国。ところが、核保有国との橋渡しと言いつつ、核超大国側に立ち、代弁者を務める日本政府、岸田首相。核兵器を廃絶するうえではまさに大きな障害といわざるをえない。日本のいまと未来は託していけるのであろうか。7割を超える国民が「日本は禁止条約に参加すべき」と応えているなか、ここに未来があると思う。そのために、被爆者とともに、引き続き、核兵器の禁止・廃絶へ、全力をあげたい。多数派の結集のために。

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