愛知県医療介護福祉労働組合連合会書記長 矢野 彩子さん

コロナ5類化、現場の負担変わらず―いのち最優先の政治に

 コロナ5類化となりましたが、病気が変わったわけではなく、医療現場は現在も感染対策による負担は変わっていません。コロナ禍で十分な看護実習ができないまま就職した新人看護師たちは、現実とのギャップや慣れないコミュニケーションに不安を抱え、離職が増えています。
 看護労働実態調査では、「辞めたいと思うことがある」と答えた看護師が8割にものぼりました。辞めたい理由のトップは「人手不足で仕事がきつい」であり、慢性的な人員不足に、やりたい看護ができず疲弊して現場を離れる看護師たちの実態が浮かび上がりました。
 介護分野では、障害者施設での一人夜勤中に職員が倒れて亡くなるという事態が起こり、福祉保育労と共同で「なくせワンオペ!プロジェクト」の取り組みを行っています。昨年11月の介護の日には、初めて厚生労働省での記者会見も行い、運動は全国に広がっています。当事者が声をあげ、行政に現場実態をつきつけ、「このままでは命と安全が守れない」と切実に訴える中で、組合員一人ひとりの力がわき上がっていると感じます。
 医療介護福祉の現場は、元々慢性的な人員不足でしたが、コロナ禍を経て、人員が足りないことで患者を受け入れられず、自宅で亡くなる人が相次ぐ医療崩壊を経験しました。人手が足りないことは、イコール、県民の命と健康を守れない事態に直結するのだと実感しています。
 医療も介護も報酬が国で決められており、政治の役割は重要です。いのち最優先に考える野党共闘の広がりに期待しています。

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