あなたも受信だけでなく反応してみませんか
あいち労働学校の世話役の青年が、講師の私を紹介するのに「趣味は投書」と書いたことがある。
たしかに私の名前が新聞や雑誌などの投稿欄に出てくることがままある。だが、「趣味」だとはまったく思っていない。
三十年程前に、ジャーナリストの松浦総三氏から「情報を受けるだけなく、受けたら反応し発信することが、メディアを育てる」という指摘を受けた。私の投書には、それが影響している。
日ごろ、感動すること、納得出来ないこと、忘れ去るわけにはいけないこと、読書後の感想…、いろいろな思いが湧く。それを、ノートや手近紙につい書く。そんな習慣が私にある。
もう一つ、私のカバンにはいつでもハガキや切手が入っている。お世話になった人に礼状を出したり、話を聴いた後に感想を伝えたりするためである。電話やメールよりも、ちょっと時間がたってから伝えるには手紙がいい。
「思いを書く」と「手紙を出す」が結合すると、「投稿」になる。「こういう意見もある」と、見てくれる人があればよいと思ってポストに入れる。思いが先走って、不正確な部分があったりすると編集者から確認の連絡が来たりする。掲載されると、思わぬ人から「読んだよ」「あなたの文でしょう」などと声がかかる。その声は、連れ合いの方にもかかる。彼女からは迷惑がられている(迷惑料として、お礼にいただく図書券などは彼女に差し出すことにしている)。
情報はあふれているが匿名で無責任なものも少なくない現代。それだけに、きちんと自分の名前を出して意見を述べるということがいよいよ大切になっている。あなたも受信だけでなく、たまには反応して日本のメディアを健康にしませんか。
(カットは、高校生が描いた吉田豊さん)