【08.01.10】新春対談 佐藤毅さん(中日ドラゴンズ元社長)×成瀬昇さん(革新・愛知の会代表世話人)

一喜一憂せず、「護憲の大連合」の構築を  明るくのびのびと、若者に魅力のある多数派を!!

 
 中日ドラゴンズ元社長の佐藤毅さん、大のドラゴンズフアン、革新・愛知の会の代表世話人の成瀬昇さん、お二人が昨年53年ぶりの中日ドラゴンズ優勝、改憲阻止への思いなど大いに語っていただきました。聞き手は、村上俊雄事務室長。

 
佐藤 毅さん

1931年生まれ。東京新聞編集局長、元中日ドラゴンズ社長。あいち九条の会世話人。著書に『敗戦の教訓』『日本国憲法の危機』(河出書房新書)など

 
成瀬 昇さん

1925年生まれ。全国革新懇代表世話人、革新・愛知の会常任代表世話人 あいち九条の会代表世話人。著書に『野武士のごとく』(エフエー出版)『不屈』(合同出版)など。

 
司会 村上俊雄
 革新・愛知の会
    事務室長

村上俊雄:昨年は中日ドラゴンズが53年ぶり日本一になりましたね。

佐藤毅:中日ドラゴンズの優勝は、悲願でしたから大変嬉しいですね。昨年夏、NHK文化センターで野球講座をやりまして、「一極支配を打破、中日は日本一にならないといけない」と言いました。それから、バタバタと安倍が辞めるという展開で「ドラゴンズ優勝の年に政変あり!」と――あまりにもピッタリ的中して感慨ありです。中日がセリーグ優勝を取り損ない、セリーグ2位で日本一の「ねじれ」と政局の衆参の「ねじれ」は相応しているような気がします。

成瀬昇:ドラゴンズ日本一の落合監督の胴上げを見て、53年前を思い出しました。当時、私は、29歳、津島の市会議員でした。市会議員の野球チームの監督をたっていましたが、その年に吉田内閣がガタガタしましたね。

佐藤:吉田「ワンマン内閣」が崩壊した。中央の権力構造が混乱すると、その隙間に地方代表のドラゴンズが割り込むと解釈できますね。

村上:昨年7月の参議院選挙で与党が歴史的な敗北をしましたが、これについてお話しください。

佐藤:予想以上に、与党側には深刻な打撃でしたね。

 成瀬:小泉内閣の構造改革で「格差」や「貧困」が急速に広がり、安倍内閣になって、急速にハンドルを右に回しましたね。

佐藤:小泉・安倍政権で、歴史の歯車を半回転させましたが、参議院選挙で一時的にはその流れにストップをかけた感がありますね。

成瀬:日本国憲法が変えられてしまうという危機感が広がり、年金問題、政治と金の問題、大臣の不祥事問題など国民の不信、不満の受け皿に野党第一党の民主党がなったのではないでしょうか。
 
佐藤:参議院で逆転した意味は大きいですね。今回、参院の存在がこれほど大きいものかということを痛感しました。

成瀬:政治に緊張感が出てきましたね。

佐藤:彼らにとっては、ものすごい危機感ですね。ナベツネは参議院選挙が終わってから、「大連立構想」でいろいろと動いていたようですね。「大連立」は彼らなりの打開策だが、「国民の審判」をそこまでコケにすることは出来なかったですね。

成瀬:そうですね。同時に、民主党というのは第二自民党的なところがあって、基本政策で一致している点があるでしょう。憲法問題でもそうですが。

佐藤:基本的には一致していますよね。

成瀬:極論かも知れないが「同質同根、民主党は、自民党のスペアーだ」と私は思います。対決路線を取っていますが、政権を取るためですね。
 政局は相当、ゆきずまっています。資本主義体制の矛盾が吹き出していると思います。「大連立」構想も、民意が引き留めたといってもいいのではないでしょうか。

佐藤:民意は怖いですよ。民主党はこれだけ勝たせてもらって、自民党に身売りするのは、どういうやつだということですよ。

村上:平和憲法を守り活かしていくために何が大切かということを聞かせてください。

佐藤:「護憲運動」は政治的な問題ではないと思います。日本は「もう二度と戦争はしません、これからは平和国家でやります」と世界に約束したのですからそれを守るかどうかは、民族の節度、自覚の問題です。
 草の根で一人でも二人でも仲間をふやしていくこと、着実に多数派をめざしていく、踏み固めていく以外にはありません。政局の動きに一喜一憂しないで、「護憲の連合」を構築したいですね。
 地域ではすでに有権者の半ば以上の署名を集めているところもあるのです。そこの坊さんと知り合い、講演に行ってきましたが、街の温泉に入ってね(笑い)どうして多数派結集できたのか、懇談をしてきました。多数派への可能性は大いにありますね。

成瀬:自衛隊違憲論者だけではなく、日本国を守るため自衛隊は必要という専守防衛論者、世界の災害復旧に自衛隊が必要という人たち、自民党を熱烈に支持されている人たちも、九条を守るという点では、合意できると思います。
 全国には6801、愛知には300余の九条の会があります。3年半経つか立たないうちにここまでになりました。小学校単位で、草の根から運動が広がっている事は非常に大きいですね。
 いま、直ちにということではありませんが、将来的には、政党や労働組合、団体や個人など憲法を守る統一戦線を形成することが重要だと考えます。

佐藤:「9条の会」は、無限に拡がっていいわけで
す。文化運動、人間性の発露としてのアジアとの友好にとってもいいですね。
 なまけもの、無党派9条の会をたちあげたらと思っています。(笑い)
 ちょっとしたきっかけで、護憲運動の中へ入ってみようということも大事なことですね。そういう気になったら半分くらいは、獲得したことになりますね。「なまけ者9条の会」をつくろうといったら十人くらい入っちゃったそうです。そういうグループは増えていますね。難しいことは言わず、国民投票の時に、バッテンをつけてやろうということですね。半数近くなると、改憲勢力は怖くて国民投票なんて出来ないですよね。今年は、九条を守ろうという圧倒的多数派形成の年にしたいですね。その可能性 は、あります。その片鱗は、昨年の参議院選挙で見せてくれましたね。

村上:今年の中日ドラゴンズへの期待、そして、日本政治の動向についてお話しください。

佐藤:中日ドラゴンズは常時「日本一」を狙える実力を付けてきたと思います。ここで、緩まず、気合いを入れて前進することです。

成瀬:セリーグでも、優勝して日本一、そしてアジア一と頑張って欲しいですね。

佐藤:今年は、北京オリンピックもあり、スポーツを通じて国際的な友好を築く時代です。米大統領選も近づき、日本を取り巻く国際環境も変わってきます。現実は、厳しいですが、見通しは悪くないと思っています。明るい年にしたいですね。

成瀬:平和への流れは、世界的な流れに広がってきていると思います。国民、人民の平和や暮らしの向上を求める運動が大きく影響していると思います。
 日本の政局ですが、今年の早い時期に解散総選挙はあるでしょう。政界再編成という動きは出てくるかも知れませんがいずれにしても、激しく政治が動く一年ではないでしょうか。暮らしや平和を守るための運動を強めたいと思います。

佐藤:流れを変えたし、変わって欲しいですね。そして、無党派を大いに、取り込みたいですね。無党派は敵ではありません。無関心、無党派、政治不信の人たちなど、幅広く味方にしていくということです。どう働きかけるのか。憲法を守るということは、少なくとも国民が実感し、仲間になって連帯していける運動にしていくことですね。
 革新の運動も明るく、のびのびと、若者に魅力のある運動、多数派をめざす運動であってほしいですね。

村上:ありがとうございました。

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